私は20☓☓年秋、軽度のうつ症状があり、適応障害と診断されました。
その年の春頃からほとんど毎日、夜寝る前に夫に仕事がなぜかはわからないけれど辛いと泣きながら訴えたり、夜中に漠然とした不安に襲われ起きてしまったり、食欲もなく痩せて頬がこけてしまっていたりということが続いていました。
何に対しても面白いと思えず、生きていても意味ないな~と思うことも。
その症状にも波があり、春に行われた職場のストレスチェックでは、かなりの高得点を出していました。何度か心療内科の受診を夫に勧められていましたが、「精神に関する何かしらの病気に罹ったというレッテル」をはられたくないというどうでもいいプライドからか拒んでいました。
秋になりひどくなったのでしょう。夫に半ば強引に心療内科に連れて行かれました。私としては、そもそもそこまでひどくないし、いずれ症状も軽減するだろうと思っていたのに。
夫とともに診察室に入ると、受診した経緯を聞かれました。
仕事が一生終わらないのではないかと不安で夜中に目が覚めてしまうこと。胃痛や頭痛、めまいやイライラなど不機嫌でいることが増えたこと。昼食は特に食欲がなく、3kgほど体重が減ってしまったこと。職場では1週間に一度の頻度で涙が止まらなくなりトイレで泣いていること。生きていても何も楽しいと思えなくなっていること。休日を楽しめなくなってしまっていることを伝えました。
この経緯を先生に伝え始めてすぐ、私は悲しくもないのに涙が溢れてきました。自分の気持ちを伝えるような話をする時、決まって涙が出てくるのです。本音を言うことが恐怖で、そのストレスを排出するために涙が出てしまうのだとか。
大泣きしながら話し終えると先生から「半年もの間よくがんばりましたね。今、あなたは仕事のことを考えすぎているのでしょう。適応障害かと思われます。すでにたくさんの症状が出てしまっていることからもいったん仕事から離れることがいいのではないかと考えています。明日から仕事を1ヶ月休んで様子を見てみましょう。その間は職場との連絡は避けてくださいね。診断書にそのように書こうと思います。」と言われました。
すぐには理解ができなくて時が止まったかのように感じました。
え、ちょっとまって。明日から休む?そもそも今日だって仕事帰りに心療内科にとりあえず見てもらおうってことで受診しただけで、休むなんて。はい、そうですかってなれるわけがないでしょ!!
そもそも休んだところで状況は変わらないだろうし、逃げただけに過ぎない。休んでも意味がないに決まっている!そんな気持ちでした。
私は先生に「休んだからと言って状況が改善するとは思えません。まだ体力的には問題ないのだから仕事をしたほうがいいと思います。みんなに迷惑をかけないためにも。休み明けにきっと仕事が増えているだけですから。」と伝えました。
先生は、「そう思ってしまうのは、あなたが思考の大部分を仕事に割いてしまっているからだと考えられます。今は適応障害ですんでいますが、放っておいたらさらに悪化してしまう可能性も否めません。ストレスの原因から距離を置くことも大切な治療の一環なんですよ。お薬に頼ることを望まれないのであれば一度仕事から距離を取り、2週間後にもう一度受診されてください。その時の状況によって薬など別の治療方法も検討させていただきます。ひとまず診断書を職場に提出してくださいね。」と言われました。
次の日の朝、本当に気が重かったのを覚えています。このまま診断書を破り捨てて、夫と私の心の中にしまってしまおうか。そもそもどうやって職場に連絡すればいいか考えるだけでも面倒くさい。職場の同僚にも悪いから、自分の気持ちに蓋をしてこのまま自分を騙して出勤すれば良いんじゃないかと何回考えたことか。休む休まないで自分の中の感情が、ジェットコースター状態になっていました。
夫に休むか休まないか迷っているという気持ちを伝えると、
「病気なんだから、別に休むことが悪いことではないと思うよ。だれもあなたが休んだところで文句は言わないよ。だって俺も同僚が休んだ時、実際仕事が割り振られてしんどかったけど、それよりも心配な気持ちが強かったんだから。あなたは誰のために生きているの?どんなに身を粉にして無理やり自分の気持ちを無視して仕事を続けて、あなたが壊れたとしても誰も守ってくれないんだよ。確かに仕事を休んで戻る時は怖いかもしれない。でも1日2日と働けば元通りだよ。いい意味でも悪い意味でも職場の人はあなたのことに関心はないのだから。自分で自分を守らなきゃいけないんだよ。むしろ今日は無理矢理にでも心療内科に連れて行けて良かった。だってあなたを守れたんだから。今は休むことが仕事なんだよ。」
涙が溢れてくる。確かに、そのとおりだ。人のことなら客観視できるのに、自分のこととなると全く頭が働かなくなる。思い返すと夏頃にあった職場のストレスチェックでストレス度が高かった。それに、ストレス度が高いからと面談した産業医にも、眠れないことが続くようなら心療内科や精神科を受診するようにと言われていた。最近夜中に起きてしまうことが多く、それを夫に伝えていた。半ば強引に心療内科への受診を勧めたのもきっとそのためだろう。これは私からのSOSなんだ。そう自分に言い聞かせ、職場の人事担当に職場用SNSで連絡をしました。直接診断書を持っていかなくても病気休暇を取ることを連絡できる。なんて便利な世の中なのでしょう。
胃がキリキリと痛むのを感じながら、昨夜心療内科を受診し、適応障害と診断され、1ヶ月の求職が必要と判断されたという事実を書きました。
震える手で送信ボタンを押し、メッセージ画面を閉じました。もう、見たくない。反応が本当に怖くてたまりませんでした。始業時間1時間ほど過ぎたあたりで恐る恐るSNSで確認すると、人事担当から了承との連絡があり、病気休暇の取得が認められました。